版画

老いたレンブラント

死んでるか生きてるかどうやって調べる?と子供に聞いてみたら「つついて動かなかったら死んでる」と答えたそうだ。(脳死:立花隆)
そうかもしれない。あの日朝まで動いていたSは昼にはビニールシートでぐるぐる巻きにしても苦しくないらしく動かなかった。翌日も同じ形をしているように見えた。でも死を体験したことのないほとんどの人間にとって死はやはりどういうものか分かる事はないだろう。魂とか心とか精神というものを発見してしまった僕らには誕生と同じくらい死も分かることはないだろう。
夢に出てきた「目の大きな種族」は間違いなくSだし、僕が彼らの同族だと言われたのは僕自身の願望に違いない。老いたレンブラントも大きな目をしている。(画)
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イヴィッチ3

刷りがイマイチ自分のものにならないと感じる。それでもインクを拭き取って行く段階で、プレート面をよく見てどのくらいのインクの層が残っているかの判断が、ようやく少し分かるようになってきた。この状態で刷ったらどんな感じの画面になるのかの判断がもっとできないといけないのだが、少しでも見えて来ると面白くもなって来る。
イヴィッチはイヴのことだ。(画)
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イヴィッチ2

なかなか気に入った顔にたどり着けない。それでも直前よりはいいと思えるようになったのは年の功というべきか。修正という名の作業をしていて一番辛いのがこうしない方がよかったという後悔が来ることだ。以前はその感覚が常にチラチラしていたものだが最近はすっかりなくなった。そして今少し気になる所はさらにつっこんでいけば必ず道が開けるという確信さえ持てるようになったのだから大したものだ。
やっぱり年の功だね。(画)
Dscf7908

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銅版画のための銅版画

何かのイメージを絵にしたいから絵を描く。それが表現の王道だと思うが、描きたいという気持ちに押されて主題を見つけ描くという事も多い。ただその場合の問題は表現の主体と目的が転倒しやすいことだ。
銅版画は技術が幅を占めているので尚更そういう事になりやすくそうなると技法の偏りに落ち込んでしまう。やっと解放されてきた気がする。自由度が出てきた。(画)
Dscf7897

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描く喜び

描く喜びは一個の作品の完成にではなく、描くスキルの向上にでもなく、描いている途中の意識の覚醒にある。若い頃に発見した(と思った)作品の作り方、気持ちのあり方などは一つの固定観念でしかなく常に足を引っ張るし邪魔でしか無いもの、壊していかねばならないものばかりではないか。
壊すべきものを発見しそれが実行できた時、描く喜びが湧いてくる。戻ってはいけない。(画)
Dscf7871

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無彩の色

版画の多色刷りはうまくいった試しがない。単にスキルが足りないというのもあるが、単色刷りよりも基本的に絵の色を出しにくい。油絵でも色を多く使えば色彩豊かな絵が描けるわけではない、むしろ色数を減らした方が色彩を感じさせやすくなる。版画でもそれは同じで単色の方が多色よりも色を感じやすいのだ、どういうわけか知らないが。ただ単色でも色彩の豊かさには作家の色への感受性が大きくものを言うから怖しい。
この版画は色彩感に乏しいのが問題だな。(画)
Dscf7858

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修正の悪魔

アトリエの壁に自作の銅版画をいくつか額装してかけてある。正直言えばそのほとんどが気に入らない。真剣にとりくんではいるがただその気になっているだけで稚拙だし銅版画というものを何もわかっちゃいない。今ならもう少し何とかなりそうだと感じると全てを直さないで死ぬわけにはいかないと思えてしまう。ジャックメリヨンのように修正の悪魔にとりつかれてはいけないが。(画)
Dscf7834

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イヴィッチ

サルトルの「自由への道」に出てくる人物。自己実現への熱い思い、精神と行動の自由への願望が時代と環境の壁に囲まれ出口を見つけられずに悩む若き女性として描かれている。奇異で時に鋭い言動は彼女の特徴だ。友人に美術展に誘われ拒絶する「自分のものにできない絵なんか観に行ってもつまらない」がすごく印象に残っている。
サルトルは色々な人物を夫々の視点から描き分けるという技法を駆使して書いている。未完に終わった最後の章が一番好きだ。(画)
Dscf7810

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新しい意識の発見

表現法の自由は素材の扱いに始まって作業の微細な部分まで及ぶということを理解しないといけない。この技術は自分から初めて始まるんだという気持ちで技術に向かっていけたら、どんなに新鮮なものができるだろう。新しい意識の発見は新しい表現の発明だ。(画)
Dscf7795

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インクの残し方

少し版画の作り方に自由度が増したという気がする。技法だけでなくモチーフの選び方や表現の仕方、彫る道具の使い方など。インクの拭き取り技術さえ自分なりの方法でいいのだと。思えばこの拭き取りというのが一番わかっていなかった。どういう風にインクを拭き取るのがベストなのかはどこまでインクを残したらいいのかと同じことで、その答えは自分で出さねばならないというのにやっと気づいた。(画)
Dscf7788

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