大理石を彫る

ぞうけいの庭の彫刻

もう一度踏み出す覚悟が出来たので、今日は庭の彫刻を洗った。大理石の彫刻が野外でどのくらい耐えられるか実験も兼ねて置いたのだけれど、ずいぶん苔で覆われ汚れていた。ときどきは洗うのだけど追いつかない。特に背中の黒いまだら模様はいくらこすってもなかなか取れない。でも女の顔には汚れが殆ど付いていないのは、そこは大事なところだからと集中的に彫りもし砥石をかけてあったからだ。

子犬がいちばん汚れていた。洗剤を付けてタワシでゴシゴシこすったら、やっとつぶらな瞳が浮き出てきた。正面に3匹、後ろに1匹彫ってある。後ろの子犬は最初にもらわれて行ったが不幸に終わったようだ。他の3匹は幸せにそれぞれの生を全うしたと聞いている。

花の彫刻の横をトワンが通る。ときどき人間の子らも走り回るから、だれか躓いて転ばないようにと位置を少しずらして並べ替えた。丸みのある花弁を通路側に置いた。(K)

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野生への畏怖

可愛らしさや意味のある表情や誰かの面影を消して、それでも残る形を見たくて彫り始めた。

女はいつ女になりどうやって人間になるのか?それはもう一人の問題ではない。少し胸をふくよかにしてみようか。ピンクの色鉛筆で薄く丸いシルエットを描いて今夜は道具を置いた。(K)

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新しいトワン

少し前にトワンが不思議な行動をとった。新しい状態に入った自分に戸惑っている風だった。数日したら納得した様子でのんびりと過ごし始めた。前にも増して可愛い。トワンの天使性が発揮されるのはこれからだろう。彼から広がるスフィアはやわらかくあたたかい。

人間はそうはいかない。憎悪の風に少しでも触れると晴れた日でも暗くなる。地獄の霊気に近づかなようにすることが知恵ある者の行動である。愛する人を守るために生きているのだから。(K)

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その時の顔

顔を彫るのにもう以前みたいに苦しむことはなくなったのは、対峙する者がいなくなったからだろう。石の中に自分を見ることはなくなった。やって来るイメージ、浮かんでくる形に素直に従う。今日は目と口元を彫った。目には知性、口元には情愛が現れる。澄んだ涼しい目と甘く爽やかな口にしたい。

彫りながら思った。10年前はここまでは彫れたのかと。しかしここまでしか彫れなかった。この先はどうしてよいか分からなかったのだ。今は知っている。ここまで用意してもらったのだ。誰にだろう?神様とガハクに。この先は任せて!(K)

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新しい顔には新しい彫り方

新しいトワンを彫っている。向こう側の目に彼の内面が現れている。遠くなった耳が良い角度を与えてくれた。背中の雲の羽根はきれいにふたつに分かれて並んで膨らんだ。新しい顔には新しい彫り方が必要だから、やわらかな面を作り、そこを包むくっきりと区切る輪郭線を探し出す。新しい存在の仕方をシャープに表したい。(K)

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ケルビム一家

何度もやりかけては放り出していたこの3人と一匹『ケルビム一家』に明日から取り掛かる。ゆっくりだが確実に見えるようになっている自分の目を信じて、まず埃を払い、水で洗い、それから砥石をかけてはヤスリで削ったり、気が付いたら極細のよく切れるノミで彫り直す。必ず良くなるということが分かったからには、このまま放っておくわけにはいかないのだ。死ぬ前にやり遂げたい。(K)

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7ヶ月ぶりにデナリへ

裸ん坊の子供の像を芳しいコーヒーを飲む場に置くのはどうかなと思って躊躇していたのだけど、この子は天子なのだし。で、早速マスターに毛布の包みを外しながら尋ねた。
「この子は天子なんです。ね、ぜんぜんいやらしくないでしょ?」
「いいですねえ」と、とても喜んでくれた。

祈るふたりの像をガハクが何度も撫でながら「この石の光、綺麗だねえ」と言っていた。

ガハクの油絵は4枚展示、どれも大好きな絵だ。版画の新作は次回に♪(K)

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後ろに回り込む

この鹿の何でもない無名の優しさが気に入っている。ピアニストより良くなった。空気を変える力があるのはこのような者達だ。足の裏から伸びる影はいいアイデアだと思うが、まだ空中浮遊っぽい。そうではなく月に照らされた草原を歩いているように出来ないものか。鹿の後ろにまで回り込む空間をレリーフで彫れるようになりたい。この鹿にリードしてもらおう。そうしたら月の人も月の女ももっと軽やかになれる。(K)

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子供の手

子供の手にはよく触れる。もう30年以上(いや、もうそろそろ40年になるか)も子供たちの手を握って来た。ぶっくらとした彼らの手を包んでいっしょに筆を動かすことがあるからだ。その時々に見る私の手の方はだんだん枯れて骨ばって来て血管が浮き出てもいる。子供らは気にしない。ふたつの手で動かされている筆の先に出てくる色の広がりに線のうねりに集中している。活動は具体的なものだ。一つ一つの行為が生み出した形が信頼を生む。言葉がぴったりくっ付いて離れない行為を芸術と呼ぶ。(K)

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二重の波

虹は本当はいつも2重なのだそうだ。色の循環を逆にして並ぶ二つの虹のように、川の水しぶきの中にももう一つの波が湧き立っているのを発見した。向かい合う対の波があるのだ。落ちる水を押し返そうとする波。白く泡立ち盛り上がった小さな水の面は岩の段差や窪みの上にとどまり続け水音を立てている。

自転車を走らせながらあの白く泡立つ面をどうやったら彫れるかとずっと考えていたのだった。何故そのように動くのか、どうしてそういう形が生まれるのか、その目的が分かればきっともっとはっきりと美しい形が彫れるはずなんだ。(K)

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