透過する形

『透過する光線』を彫った頃に比べたら、今はかなり自由になった。思い浮かんだものを疑わずすぐにとりかかる。石の上に描いた線が生き生きして見えたら、きっと形にできると確信できるのだ。今夜は風と水を重ねて彫った。ケルビムの輪が風を起こすと水は喜んで波立つ。白い泡が笑っている。

昼間はガハクの油絵を入れる為の額を4つ製材した。すぐに接着され組み立てられた白木のままの額の中に入った絵がとても美しかった。少しずつ実現している世界がここにある。(K)

Dscf7262

|

描き続ける幸福

ピカソがジャコメッティを訪問したという話を矢内原伊作が書いている。アトリエに二人だけで数時間も閉じこもっていたそうだ。ジャコメッティはピカソを評価していなかったし、ピカソのような早描きで多作な人が、一枚の絵や彫刻を作っては潰し潰してはまた作るという行為を延々と繰り返すジャコメッティを理解できるはずがない。同じ一枚の絵をずっと描き続ける幸福を知ることはなかっただろう。(画)
Dscf7256

|

雲と雨と光

やっとトワンの背中の羽が美しく彫れた。今夜、海の上に浮かぶ雲を一つ増やした。この小さく可愛らしい形が気に入っている。どんどん削り落としてそぎ落としているのに、増えて加えられることもあるのだ。まったく予想していない時に思いもつかぬ場所にぴょんと浮かぶ形がある。それをそのまま素直に刻むときっと楽しいものが出来る。それはほんとうに小さな存在だけれど必ず全体によい影響を及ぼす。そしてそれはずっと変わらず可愛らしく美しい形をしている。春には春の、冬には冬の出現があるのだ。(K)

Dscf7240

|

装飾と写実

絨毯の模様の描き直し。右側に続いて左側を描いている。トワンの座る敷物と絨毯の模様との関連が新しく生まれそうに思えてきた。装飾的なものと事物のリアル感とがより親密になりそうで面白い。(画)
Dscf7235

|

物語を削り落とす

川を削り落としたら女の手が自由になった。示唆と暗示は消えた。ふわっふわっと空から降りるとき、髪は緩やかに揺れ、手は空気を抑えるためにわずかに丸みを持つだろう。少し彫り直した。

春はいい。冬を越えたものたちが振り出しに戻るわけじゃない。去年より大きな枝に大きな花と大きな葉を付けて鮮やかに雨に濡れている。物語はシンプルに。造形美が先行する。(K)

Dscf7211

|

男性的?女性的?

絵を描くという事はテーマを決めたら方法を決め課題をこなして仕上げるという男性的な行為なのだとピカソは言ったそうだ。ボナールを引き合いに出し、彼は計画もなしで始め思いつくままに描き続け、いつ終わるとも知れぬ女性的でだらしない描き方をしているからダメだと。正に耳の痛い話でもあって度々浮かぶ言葉ではあるのだが、今日はふと逆の発想が浮かんだ。そこにピカソの可哀想なところがあるなという。いつまでも一枚の絵を描き続けることの幸福感が彼にはなかったんだなと。
↓絨毯を全体的に修正しようとしている。(画)
Dscf7199

|

春に彫る

新緑の美しさに毎日うっとりしながら自転車を走らせている。刻々と動いている山の緑と庭の梢。今年はリンゴが去年の数倍花を付けた。これはすごいことなんだ。死にそうだったあの木が枝いっぱいに花を咲かせるなんて、数年前は考えられないことだった。

今日は決意した。リンゴの木の再生を皮切りにして、未完成のままに放ってあった彫刻を一つ一つ作り上げて行こうと。その仕事が終わるまでは死なないでいられるだろう。いや、気がつかないまま向こうに行っているかもしれない。

雨は斜めにすると雨らしくなる。そこに風があるということだ。桜もだけど、雨も風と仲良しなのだ。(K)

Dscf7188

|

Mac

世話していたのか世話されていたのか分からないが一日中Macに張りついていた。夜中になってようやく解決の糸口が見えたので楽な気分になった。今日はカドミウムイエローを練っただけでほとんど絵を描けなかった。↓これは昨日少し描き直した「Mの家族」猫。絨毯の模様も明日はもっと描き直せるだろう。(画)
Dscf7185

|

水脈

水の流れをなんども彫り直しながら探っていたら、突然閃いた。遠望した森の中にキラッと光る幻の滝の形が見えた。ブツッと切れる水脈はどこに行ったのか?そんなことは構わない。表に現れたものを彫るだけだ。霊的継承を表象するように水は地下に潜ってどこからかじわっと溢れ出す。失くなることは決してないのだ。(K)

Dscf7182

|

できるかできないか

意識していなくてもできる場合がある。意識していてもできない場合もある。できるできないと意識の有無は無関係ということになる。長所と呼ばれる得意な領域のすぐ横に大きな欠点がある。長所というのはその人間にとって唯の自然力に過ぎないから伸ばそうなどと思わなくても伸びていってしまう。反対に短所こそ個性だと言える。短所を覆い隠そうとしないでしっかり見つめていけたらいい。そこに大きな突破口があるに違いない。(画)
Dscf7171

|

«樹海の中の道