老いたレンブラント

死んでるか生きてるかどうやって調べる?と子供に聞いてみたら「つついて動かなかったら死んでる」と答えたそうだ。(脳死:立花隆)
そうかもしれない。あの日朝まで動いていたSは昼にはビニールシートでぐるぐる巻きにしても苦しくないらしく動かなかった。翌日も同じ形をしているように見えた。でも死を体験したことのないほとんどの人間にとって死はやはりどういうものか分かる事はないだろう。魂とか心とか精神というものを発見してしまった僕らには誕生と同じくらい死も分かることはないだろう。
夢に出てきた「目の大きな種族」は間違いなくSだし、僕が彼らの同族だと言われたのは僕自身の願望に違いない。老いたレンブラントも大きな目をしている。(画)
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雲の階層

海と空の境界ははっきりしている。そして雲には階層がある。低い雲は重ったるく、中間の雲は愛らしい。高層を流れる雲は爽やかだ。

今日ぞうけいに来た子供たちに
「海の上に浮かんでいる雲を描いてごらん」と言ったら、ぷかぷか空に浮かぶ羊雲を描いていた。もっと夏らしい入道雲にして欲しかったのだが、まだイメージがないらしい。子供は自分のサイズの雲を持っている。怖いものや大きなものをじっと見つめるには、大きな安心に包まれた静かな状態が必要だ。(K)

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イヴィッチ3

油彩で描いてみる。
僕は今まで油彩画をベースに版画におこすということがほとんどだ。油彩の自由度に比べれば木版画や銅版画は、彫るという後戻りできない所や少ない色数などずいぶん制限された表現方法だ。むしろ制約がある方が仕事が楽なこともあるということも言えるが。
版画で始めたことを油彩にするという順序は珍しい。油彩という自由な表現空間にどう版画で気づいたイメージを解放することができるだろう。(画)
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ピアニストの島

水が彫れるようになったのがとても嬉しい。波打ち際の水が足に触れた時の冷たさを想いながら探っていると、出て来る形がある。ちらっと現れた美しい真実を逃さないように捕まえる。そしてそこから広げて行く。ピアノの重さ硬質さは弾き手の感情をがっちりと受け止める強さと柔らかさが必要だ。

あの美しいバッハの旋律を奏でたグレングールドが、音楽は情事であると言ったのだそうだけど、どういう文脈の中で語られたのか知らないから用心しながらも、直裁で驚いた。裸の心を音にも言葉にも表す人の清らかな勇気に感動する。(K)

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生命の起源

今日は油絵を描いた。版画ばかりやっていたのでちょっと新鮮な気分だ。
アマリリスの続きをしようとしたらアマリリスのイメージを忘れてしまっていた。それで勝手に描けばいいなと始めたらこんな絵になった。そんなに悪くないんじゃないか?植物を描くのはやっぱり彼らが生命の始まりだからだろう。創造は生命と切り離しては考えられない。(画)
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トワンのスフィア

トワンの周りを彫っている。足の間、尻尾の隙間を流れる風の動きが見えて来て面白い。丹念にさらっては砥石をかけている。そこにはやわらかで清涼な空気が広がっているように思えるのはトワンの徳だろう。誰にも愛されながらも自由に振る舞えるというのは人間には有り得ない。

今日は無意識の会話というのを考えていた。表と裏、外と内が一致していれば一気に語り、突然黙しても通じるはずだ。とすれば、思ったことはすでに相手に知られている。そこは無意識界だけれど真実が動き出したら誰も止めようがない。美しいものは強いんだ。(K)

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イヴィッチ3

刷りがイマイチ自分のものにならないと感じる。それでもインクを拭き取って行く段階で、プレート面をよく見てどのくらいのインクの層が残っているかの判断が、ようやく少し分かるようになってきた。この状態で刷ったらどんな感じの画面になるのかの判断がもっとできないといけないのだが、少しでも見えて来ると面白くもなって来る。
イヴィッチはイヴのことだ。(画)
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船底

海に没している山裾を探りながら彫っていたのだけれど、船底のように丸くなって海に浮かんでいるということになった。急に軽やかな気持ちになった。激流がとおめいなまるい球を前に押し出しているように見える。動き始めたようだ。

明日上海から発送された新しいMacのパソコンが届く。
「きっと驚くよ」とガハクが言う。これを機会に、『となりの戦車隊長』『母のゆめ』の原稿をKindleに上げて出版してもらうことにした。ひとつひとつやって行く。その日は山が動く。(K)

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イヴィッチ2

なかなか気に入った顔にたどり着けない。それでも直前よりはいいと思えるようになったのは年の功というべきか。修正という名の作業をしていて一番辛いのがこうしない方がよかったという後悔が来ることだ。以前はその感覚が常にチラチラしていたものだが最近はすっかりなくなった。そして今少し気になる所はさらにつっこんでいけば必ず道が開けるという確信さえ持てるようになったのだから大したものだ。
やっぱり年の功だね。(画)
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謎が解ける時

やっと人や動物のそれぞれがくっきりした美しい形になって、まわりの空間を見回す余裕が出て来た。海と湖の違い、水と空の触れ方など、いろいろ試している。今日は、とおめいなまるい球を包む虹が海に吹き込む様子を彫った。

もう少しでこの物語の意味が理解できそうだ。(K)

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